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1999(平成11)年3月に、地図情報システム「えっ地図」の運用を開始しました。
災害弱者のために、地図が必要性だと考え始めたのは、阪神・淡路大震災の際、神戸市でのボランティア体験がきっかけです。
災害時、一人暮らし高齢者、二人暮らし高齢者、寝たきり高齢者、重度障害者の方々は、より早い支援が必要になります。
しかし、その地域に不慣れなボランティア等は、住所番地だけを見て、家を訪ねることが出来ません。
そこで、まず、一目で、災害弱者の家が分かるように、市販の住宅地図を利用することを考えたのです。
そして、「福祉地図」を、阪神・淡路大震災発生の年である1995(平成7)年6月に、宇奈月町民生委員児童委員の協力を得て、開始しました。
ところが、出来上がったばかりの「福祉地図」を見て、満足できなかったのです。
地図をコンピューター化し、例えば、災害弱者の氏名等を入力することで、誰にでも、その家を検索できるようすることが、必要だと思いました。
そのような、地図情報システムソフトBIG MAPを探し出すのに、4年かかりました。
ソフト入手後、日常業務の合間に、地図情報システムソフトの取扱説明書を読み、試行錯誤しながら、各種設定などの作業を行いました。
富山県内で、その地図情報システムを購入していたところは他になく、分からないところを誰かに尋ねることが出来ず、全て、自分やるしかありませんでした。
宇奈月町の福祉対象者723件について、全ての入力が終わったのは、作業を始めてから、7か月が経っていました。
名称は、地図情報システムが完成し、初めて見た人が、「えっ」と驚いたこと。そして、昔、絵図を、絵図などと呼んでいたことから、「えっ地図」と、名付けたのです。
地図情報システム「えっ地図」とは、地図とデータベースが一緒になった、地図情報システムのことです。
データベースで名前を検索し、地図ボタンを押すと、その家の地図が画面中央に表示されます。
その家には、赤丸や青丸などで印がついており、その家をクリックすると、10項目(住所・電話番号・担当民生委員児童委員・緊急連絡先等)が画面上に表示されます。
ですから、データベース、地図画面の両方から、その家の情報が分かるのです。
データベースで検索できますから、たとえ氏名が分からなくても、名前などの一部さえ分かれば、対象の家を絞り込み、探し出すことが出来ます。
「えっ地図」で把握しているのは、民生委員・児童委員が提出している「福祉調査異動届」の、災害弱者家庭などです。
「えっ地図」では、地域の状況(一人暮らし高齢者の多い地区など)や、より条件の悪いと思われる、複数福祉対象家庭(二人暮らし高齢者であり、一人が寝たきり高齢者であるなど)が一目で分かります。
データは、民生委員・児童委員の「福祉調査異動届」に基づいており、その内容に変更が生じた場合、速やかに更新されてます。
「えっ地図」の運用に至った流れ
平成7年 2月 阪神・淡路大震災で災害弱者家庭の地図情報把握の必要性を認識。
平成7年 6月 宇奈月民生委員・児童委員の協力で、災害弱者家庭の「福祉地図」事業を開始。
平成7年 7月 パソコン業者に、地図情報システムソフトの入手調査等を依頼するが、購入に最低千万単位必要が判明、継続して調査を依頼。
平成9年12月 本波が、データーベースソフトDBProに住宅地図を1枚ずつ貼りつけ作業開始。(地図情報システムのソフトが、入手困難と考えたため)
平成10年 2月 データーベースDBProに地図貼りつけ作業完了。
平成10年 3月 現在使用中の地図情報システムソフト販売情報を入手し購入。
平成10年 7月 本波が、全ての項目、地図情報、データーなどの入力作業を開始。
平成11年 3月 旧宇奈月区域の地図情報システム「えっ地図」が完成、運用開始。
「えっ地図」の運用を始めた当時、福祉業界で、地図情報システムを活用しているところは他にない、と言われました。
地図情報システム「えっ地図」のモデルなどはなく、本波が独自に考えて取り組み、運用を始めたものです。
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