2007年 本波 隆(ほんなみ たかし)福祉関係ニュース

2007年(平成19年)8月1日(水)讀賣新聞 全国版 夕刊
孤独死防止 下 最前線
地方でも支え合い希薄化
顔見て一安心 皆でかかわり
*ゴミ出し代行
孤独死は都会の問題ととらえられがちだが、今や地方も例外ではない。皮肉なことに、介護保険の高齢者介護サービスが導入されるにつれ、地域での支え合いが希薄になることもある。こうした問題を解決するにはどうすればいいのか。
(中館聡子、写真も)
長野市に隣接する人口5万人余りの街、長野県須坂市。住宅地の周辺に農地が広がり、ブドウやリンゴなどの果物の産地として知られている。
市内で最も早く建てられたマンションに住む中村栄作さん(77)には、日課としている川釣りのほかに、欠かさずにしていることがある。同じ階に住む独居の80歳代女性のゴミ出しを代行しているのだ。
この女性から、「いつも、ゴミに向かって『中村さん、ありがとう』と言っているんですよ」と感謝の意を伝えられた中村さん。「私も少しはお役に立っていることがうれしいんですよ」と照れた。
2人を結びつけたのは。同市社会福祉協議会のケアマネージャーらだ。訪問介護のヘルパーが利用者に頼まれてゴミを持ち帰るケースが増えていたことから、「近所の人にゴミを出してもらおう」と、昨春から本格的に始めた。
「お年寄りが訪問介護やデイサービスの利用を始めた途端、それまで作った料理のおすそ分けなどしていた近所の人が『もうケアマネやヘルパーに任せておけばいい』と、かかわりをやめてしまうことが多い。地域の人に頼めることは地域に返した方がいいと感じた」と同社協事務局次長の高橋芳子さん(57)は語る。
2003年に市民を対象に行ったアンケートで、近所に困っている人がいた時の対応として、「積極的にかかわる」「頼まれたらかかわる」とした人が9割以上だったことも、決断の後押しとなった。
予測通り、ヘルパーが持ち帰るゴミの量は半減した。同社協は続いて、住民有志が各地域で開く「ふれあいサロン」にも要介護者を受け入れてもらおうと、各サロンの運営者に頼んで回っている。
*見守りの輪
高齢者宅の電気がつけっぱなしでないか。郵便受けに郵便物がたまっていないか−。富山県黒部市宇奈月地区(旧宇奈月町)では、地域はもちろん、多くの人が高齢者を見守る仕組みづくりを進めている。
新聞配達や郵便配達員らに高齢者の安否を確認してもらう活動を始めたのは1993年。毎年協力機関を増やし、今では64団体が参加する。郵便配達員が高齢者宅を訪れる機会を増やそうと、97年からは、学校や保育所の子供らが、独居高齢者にはがきを送る活動も行っている。
今年6月には、食料品店など高齢者の利用が多い店に協力を依頼。よく来るお年寄りが顔を見せないなど、不審に感じた時に通報してもらうようにした。
「高齢化がさらに進めば、田舎でも孤独死のリスクは増える。町全体で高齢者を見守ろうという意識が向上してくれれば」。活動を仕切る同市社協宇奈月支所の本波隆支所長(56)は思いを語る。
*データベース
取り組みには、同支所が99年に運営を始めた要援護者情報データベース「えっ地図」が活躍している。
パソコン画面上の住宅地図に、要援護者宅には、「一人暮らし」「寝たきり」などの状況が色別で表示され、家の位置をクリックすると、住所、生年月日、緊急連絡先などが分かる。入院などで状況が変化すると、民生委員らの報告で毎月更新する。
「最新情報に基づくことで、見守りの実効性高まる。災害時にも力を発揮するのではないか」。本波支所長らは期待している。
カラー写真(省略)
「一人暮らしの方の顔が見えないと、いつも気になっていた」と、食料品店を営む関口文夫さん(66)(左)見守りの協力者となり、通報しやすくなったという(富山県宇奈月温泉で)
2007年(平成19年)7月16日(月) 福祉新聞 全国版
富山県黒部市宇奈月地区
災害時、一人も見逃すな
要援護者情報を毎月更新
足腰の不自由なお年寄りなどが災害時に逃げ遅れることのないよう、日ごろから目配りする活動がここ数年重視されつつある。富山県黒部市宇奈月地区(旧宇奈月町)の民生・児童委員協議会は、独居高齢者など要援護者の情報をデータベース化して毎月更新。パソコン上で地図とも連動させて万が一の備えている。
同民児協の民生・児童委員23人(主任児童委員は除く)が担当する要援護者は、地区人口の15%にあたる915人。その内訳は独居高齢者や二人暮らし世帯が6割を占めるが、施設や病院で暮らす人(16%)、在宅の障害者(10%)、母子世帯(4%)など幅広い。
民生・児童委員は日ごろの活動を通してこの915人の様子を見聞きし、入退院などの異動や新規の登録がある場合は5枚つづりの「福祉調査異動届」に記入して毎月10日、黒部市社会福祉協議会宇奈月支所に提出。2006年は新規を含め241件の異動情報を更新するなど、常に最新の要援護者情報の把握に努めている。
同民児協会長の沖村武志さんは「ここはほとんどの住民が顔見知りなので、民生・児童委員の頭の中には地域の情報がしっかり入っています。だから、わざわざ紙に書いて提出し、データ化しなくても・・・という見方もありますが、これをやることが民生・児童委員の大きな意識付けになっています」と話す。
「福祉調査異動届」の発端は1991年にさかのぼる。配食サービスの対象となる独居高齢者の名簿がが年に1回しか更新されていないことに疑問を感じた社協職員の本波隆さんが同民児協に提案。当初は色よい反応ばかりではなかったが、すぐに定着し「情報をつかんだら毎月10日まで待たずに提出する人も多く、事実上随時更新になっています」(社協職員の中野靖子さん)という。
転機が訪れたのは95年の阪神・淡路大震災だ。全国から訪れたボランティアが情報不足などから思うように動けなかった実態を踏まえ、同民児協は住宅地図に要援護者情報の書き込みを開始。その後、パソコン上で地図と要援護者情報をリンクできるソフトを探し続けた結果、98年に50万円のソフトを見つけて購入し、99年から運用を始めた。
現在、パソコン画面に映る地図上には、独居高齢者なら赤色、二人暮らし世帯なら青色などと色分けして表示され、そこをクリックするとその人の住所、生年月日、緊急連絡先などが分かる。逆に、要援護者情報の画面上で「独居高齢者」などと指定すれば、該当する家を瞬時に地図画面に表示することも可能だ。
「えっ地図」と呼ばれるこのシステムの最大のメリットは、パソコン画面を閲覧すれば避難誘導が必要な人の住まい、連絡先などが誰でも分かるため円滑に救助できることだが、災害そのものの発生に気づくのが遅れてしまうと宝の持ち腐れになりかねない。
そこで黒部市社協では市内の学校、建設会社、タクシー会社などに呼びかけ、河川の氾濫などに気づいたらすぐに社協に連絡する「災害情報ネットワーク」を構築。さらに、災害への備え、災害時の行動、避難時の注意などを明記した「ふくし災害マニュアル」を全戸配布している。
宇奈月地区は、かつて”暴れ川”と呼ばれた黒部川に沿う温泉地帯であるだけに、沖村さんは「集中豪雨などによる土砂崩れの不安があるので、雷雨や大雪の時にこちらが電話するだけで安心できる人がいます」と話し、日々の地道な声かけを大切にしてる。
カラー写真(省略)
沖村武志さん
災害マニュアル
データベース化し地図とも連動
2007年(平成19年)6月20日(水)朝日新聞 富山県版
宇奈月地区に「顔なじみネット」
お年寄りの安否
商店が「見守り」
きょうから黒部市社協
黒部市社会福祉協議会は20日から宇奈月地区で、行きつけの商店にお年寄りの安否を見守ってもらう「顔なじみネット」を始める。郵便配達など仕事で地域を訪れる人による「見守りネットワーク」に加え、お年寄りの異変に素早く対応するための地域ぐるみの活動の輪がさらに広がる。
「顔なじみネット」は、食品店や個人経営のスーパーなど6店が協力。旧宇奈月町の6地区に各1店で、その地区のお年寄りが日ごろから利用する顔なじみの店だ。
各商店は、お年寄りが、顔を出さなくなったなど不審に感じた場合、市社会福祉協議会や地区の同協議会に連絡する。安否は、民生委員が確認する。約600人いる旧宇奈月町のひとり暮らしと2人暮らしのお年寄りらが対象になる。
「見守りネットワーク」は、ひとり暮らしや2人暮らしのお年寄りを見守っている。郵便や牛乳の配達、電気やガスの検針、交番の人たちが協力。2日以上、新聞や牛乳が玄関にたまっているのを見かけたりしたときは、同協議会などに連絡してもらい、民生委員が安否を確認している。
見守りネットワークは旧黒部市内へも広げており、「顔なじみネット」もいずれ拡大していく。
市社会福祉協議会宇奈月支所の本波隆支所長は「今まで以上にきめ細かなネットワークで、お年寄りを地区ぐるみで見守りたい」と話している。
2007年(平成19年)6月16日(土)北陸中日新聞 富山県版
地域高齢者を見守ろう
商店軸に顔なじみネット
黒部市社協
黒部市社会福祉協議会(社協)は、商店に客として訪れるお年寄りを見守ってもらう「顔なじみネット」を同市宇奈月町で始める。高齢者が近所のなじみの店で頻繁に買い物をすることに着目。従来の「見守りネットワーク」と合わせ、お年寄りの異常に地域ぐるみで目を光らせる。
顔なじみネットに協力するのは、食料品店や個人経営のスーパーなど六店。地元のお年寄りがよく利用する商店を旧宇奈月町の六地区で一店ずつ選び、協力を求めたところ快諾を得た。
各商店の役割は、定期的に買い物に来ていたお年寄りが顔を見せなくなった場合、市社協や地区社協に連絡すること。連絡を受けた民生委員が安否を確認する。
市社協はこれまで、郵便や牛乳の配達員、電気や水道、ガスの検針員らの協力で「見守りネットワーク」を実施。玄関に新聞や郵便物が二日以上たまっていた場合に、民生委員に確認してもらってきた。
この取り組みは一九九三年、旧宇奈月町で六十五歳以上の一人暮らしと高齢者夫婦を対象にスタート。お年寄りに小中学生や保育園児、ボランティアらがはがきを出す「お便りネット」も九七年から始めた。
こうした高齢者支援活動には、今回の顔なじみネットも含め、八十六団体・企業や個人約四十人が協力。二十日には協力者への説明会や研修会を開く。市社協宇奈月支所長の本波隆さんは「網の目が細かくなるほど、目がよく行き届く。地域ぐるみでお年寄りを見守っていきたい」と話している。
(広中康晴)
2007年(平成19年)5月1日(火)讀賣新聞 富山県版
懐メロ2万曲データベース化
黒部市社協宇奈月支所
寄付受けたレコード*リクエスト曲探し手早く
懐かしのメロディーを収集する黒部市社会福祉協議会宇奈月支所(黒部市宇奈月町浦山)は、全国から寄せられたレコード盤の曲目データベースを作成中だ。4月末までに約2万曲分を作り終え、同支所のホームページに掲載している。同支所では「聞きたかった曲を探すのに役立てて」と話している。
同支所がレコード盤の収集を始めたのは、1997年12月から。管内の高齢者から「好きな懐メロを聴いて楽しみたい」というリクエストがあり、情報誌などを通じて、全国に寄付を呼びかけた。現在までに89人から1万枚を超えるレコードやカセットテープ。CDが寄せられている。
集まったレコードは「聞いてみんけサービス」と題し、同支所が開催する巡回映画会や、旧宇奈月町で開かれるイベントなどで披露。高齢者からは「若いころを思い出して懐かしい」など好評で、集まった人たちが昔話に花を咲かせるきっかけにもなっている。
しかし、最近は枚数が増え、支所の職員がリクエスト曲を探すのもひと苦労。手間と時間を短縮するために、歌手や曲名で簡単に検索できるように、作年7月からデータベース化に取り組んできた。
4月末までに約2万曲分を作り終え、同支所のホームページ(http://www.vcnet.toyama.toyama.jp/~welfare/unaduki.html)に公開し、順次更新している。レコード盤は、演歌や歌謡曲が中心だが、中には昭和戦争中の漫才などを収録したSP盤など珍しいものも含まれている。
本波隆支所長は「所蔵曲を公開することで、レコード盤のことを知ってもらい、もっと利用が増えて欲しい」と話している。
白黒写真(省略)
データベース化を終えたレコード盤
2007年(平成19年)4月12日(木)朝日新聞 富山県版
懐メロ1万8752曲検索可能
黒部市社協宇奈月支所がデータベース化
お年寄りのリクエスト期待
お年寄りの集いや巡回映画会で懐メロのレコードをかけている黒部市社会福祉協議会宇奈月支所は、所有するレコード盤約1万枚のうち4317枚をデータベース化した。登録したのは歌手1113人の1万8752曲。歌手名や曲名の一部だけでも同協議会のホームページから検索できる。お年寄りからのリクエストが増え、コミュニケーションの機会も多くなると期待している。
レコード盤は、旧宇奈月町社会福祉協議会がお年寄りらに懐メロを楽しんでもらおうと、97年秋に募集し、全国の89人から寄せられた。同年12月から「聞いてみんけサービス」として、一人暮らし高齢者の集いや巡回映画会「来て見てヤンバイ映画館」で、レコードの曲を流してきた。
データベース化は、レコード盤が増え、事前にリクエストがあった場合に該当する曲を探すのが容易ではなくなったため、昨年7月末から取り組んだ。
すべての曲に管理番号を付け、レコード盤も50音順に歌手名を並べたことで、曲名や歌手名から聴きたいレコードが簡単に探せるようになった。歌手名や曲名の一部しかわからなくても、検索で該当する曲を絞り込むことができる。
データベース化したことで、五木ひろし(388曲)、八代亜紀(304曲)、森進一(266曲)の曲が多いこともわかった。
同協議会のホームページからも検索ができるようにしたことで、リクエストが増えることも期待している。
本波隆支所長は「お年寄りが孫などに曲の検索を依頼するなど、家族でのコミュニケーションにも役立つのではないか」と話す。
今後、残りのレコード盤やカセットテープ、CDについても、データベース化も進めることにしている。
カラー写真(省略)
歌手や曲名からもレコード盤の検索が可能に=黒部市社会福祉協議会宇奈月支所で
2007年(平成19年)3月15日(木)北陸中日新聞 富山県版
懐かしの歌
瞬時に検索
お年寄りに巡回”公演”
1万8752曲の登録完了
黒部市社福協宇奈月支所
全国から寄せられたレコード盤のデータベース化に取り組んでいる黒部市社会福祉協議会宇奈月支所が、歌手別に曲名を登録する作業を終えた。この結果、歌手千百十三人の一万八千七百五十二曲が瞬時に検索できるようになった。お年寄りのリクエストに応え、巡回無料上映会「来て見てヤンバイ映画館」などで楽しんでもらう。
(広中康晴)
レコード盤の募集は、目の不自由なお年寄りの「ラジオを聞いていても最近の歌ばかり。懐メロが聴きたい」という一言がきっかけ。合併前の旧宇奈月町社福協が一九九七年秋から、不要になったレコード盤などの寄贈を呼び掛けた。
インターネットの情報ネットワーク「ボランティアネット」を通じて募集したところ、全国の八十九人からレコードやカセットテープ、CDが到着。これを基に、お年寄りに楽しんでもらう「聞いてみんけサービス」を同年十二月から始めたが、曲名を覚えていないお年寄りも少なくなく、曲探しが大変だった。
データベース化は、曲探しに役立てるため。宇奈月支所の本波隆支所長を中心に、職員四名が昨年七月下旬から日常業務の合間を見て取り組んだ。
寄付された歌手別のレコード盤は四千三百十七枚。収録された全曲のリストを作り、管理番号を付けたほか、整理棚のレコード盤も歌手別に並べ直した。
これで、パソコンで曲名を検索すれば、収録されているレコード盤が瞬時に分かる体制が整った。曲名が思い出せないお年寄りのリクエストには、歌手名でも検索できる。五木ひろしさん、八代亜紀さん、森進一さんの曲が多く登録されているという。
これらの曲は、旧宇奈月町の公民館などで月二回ペースで開いているヤンバイ映画館のほか、各地区の「一人暮らし高齢者の集い」で聴いてもらう予定。十五日には、データベースの活用方法などを協議する。
寄付されたレコード盤のうち、歌謡大全集や民謡、洋楽などは未登録。このほか、カセットテープやCDもあり、宇奈月支所は今後、これらのデータベース化にも取り組んでいく。
カラー写真(省略)
懐メロをパソコンで検索する職員−黒部市社会福祉協議会宇奈月支所で
2007年(平成19年)3月6日(火)BBTTV 18:45〜 富山県内放送
来て見てヤンバイ映画館
ヤンバイニュース100回目
2007年(平成19年)1月17日(水)NHK総合TV 20:45〜 富山県内放送
ニュースとやま845
大震災から12年
電子メールで情報伝達
2007年(平成19年)1月17日(水)NHK総合TV 18:10〜 富山県内放送
デジタル連峰
イブニングアクセス富山
大震災から12年
電子メールで情報伝達
防災への備えと取り組み
本波 隆(ほんなみ たかし)
