「新おすそわけ」

本波 隆(ほんなみ たかし)が、2013(平成25)年1月23日から、このページのため、新たに書いたコラムです。さて、いつまで続くか。。。。


No.84(356) 「てっしゅ」   2013(平成25)年4月17日
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 「その、てっしゅ取って」。
 言われて、台所の、木の棚にあった小皿を、家族の分だけ。
 あの小皿、近くのお寺へ、売りにきていたのを、買った物。 御堂の前に、むしろを広げ、その上に、茶碗や小皿など。
 何枚かずつ重ね、それを、ひもで縛ってありましたっけ。
 お寺には、近くの人が集まって、絵柄を見ながら、あれにしようか、これにしようか。
 しばらくして、買った茶碗や小皿を両手に持ち、知人とおしゃべりしながら、帰路へ。
 買ったばかりの小皿に盛った、今夜のおかず。新しい器だと、余計おいしそうに。
 なんだか、いつもと、味まで違ったよう。おいしくて、その日は、ついついお代わりを。
 また、したくなるか、保証の限りでは。でも、「ボランティア」。やれば、きっと、心に染みるような、新しい経験を。



No.83(355) 「あまのじゃく」   2013(平成25)年4月16日
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 みんなで、やろうと決めたのに。
 「おら、嫌やちゃ」。
 「あまのじゃく」。
 その意味も、わからず。
 「嫌なもん、嫌なが」。
 あの時は、特に、反対する理由など、ありませんでした。
 ああ言えば、こう言う。ただ、みんなの反対をして、注目してもらいたかっただけ。
 少し嫌われているのに、気がつかなかったのは、自分一人。
 次の時、本心ではやりたかったのに、また反対。
 口にした後で、どうして言ったのかと、心に悔いが。
 いつも、反対と、憎まれ口ばかり。素直になれなかったのは、どうしてなのでしょう。
 言って反省するなら、言わなきゃいいのに。
 人間、正直が一番のようです。
 正直すぎるのも、時には。そう、「ボランティア」。優しさに包めば、きっと、笑顔が満開に。



No.82(354) 「嘘」   2013(平成25)年4月15日
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 「こなしたら、だめやちゃ」。
 家で、友達の、悪口を言った時のこと。
 「でも」。
 ムキになって、反論です。口から出たのは、相手の悪いことばかり。
 実は、自分にも非があったのに、それを棚に置いて、こちらの都合いいことだけを。
 勉強は、さっぱりでした。でも、どうしてだか、あんなことになると、頭の回転が早くなり。
 興奮して、しゃべっている内、気分が修まってきました。
 すると、心の中で、少し、言い過ぎたかなと反省など。
 一度、口から出た言葉は、二度と戻ってきません。
 だから、嘘をつくなんて、論外。人間、正直が一番です。
 嫌なら、無理にとは言いません。でも、「ボランティア」。やれば、きっと、あの頃の、素直で優しい自分に出会えるかも。



No.81(353) 「しょうが湯」   2013(平成25)年4月14日
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 コタツに入ると、思わず。 「ぬくといね」。
 炭火のコタツは、体の芯から暖まってくるよう。
 コタツの上には、みかんと新聞。
 「寒かったろ」。
 家族が、湯飲みに、しょうが湯を入れてくれ、飲むと、体中が、ポカポカ温まってきました。
 横の、ラジオから歌謡曲が。あれは、大好きだった歌手です。
 いつもは、口うるさい家族が、ラジオの曲に合わせ、鼻歌交じりに、ルンルンルン。
 外は、寒く、雪で真っ白。朝から、もう随分積もったよう。
 子どもたちは、ミカンの皮をむきながら、おしゃべりに夢中。
 居間には、家族の、賑やかな声が響いていました。
 いつも、笑顔ばかりではないかも知れせん。でも、「ボランティア」。やれば、きっと、少し汚れてしまった心が、雪のように、白になってくるかも。



No.80(352) 「薪割り」   2013(平成25)年4月13日
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 「枝、きしょって、入れられ」。
 言われたように、枝を小さく折り、風呂の焚きつけ口へ。
 すると、白い煙がモクモク。その煙が、目に入り、涙がどーっと流れてきて。
 おまけに、咳が、ゴホゴホッ。
 我慢できず、指で目をこすりながら、後ろの方へ。
 待ってると、煙が、徐々に消えていきましたっけ。
 細い薪を、何本か入れると、パチパチッ。火の勢いが、強くなってくると、もう大丈夫。
 最後に、太い薪を、奥の方へ。
 細い枝は、山へ行った時に、かついで持って来たもの。
 太い薪は、寒くなる前、薪割りして作っておいたものです。
 それがあったので、燃料には、事欠きませんでした。
 そんなに前から、準備をしなくても。そう、「ボランティア」。自分でやってみたいと思った時に始めれば、多分、それが一番。



No.79(351) 「オモチャ」   2013(平成25)年4月12日
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 「なんて、やわしいが、またそ」。
 あれは、オモチャを、部屋中にちらかしたまま、遊びに出かけ、戻って来た時のこと。
 いつも、出しっぱなしで、片づけることなど、ほとんど。
 言われて、仕方なく、手近な物から、箱の中へ。
 でも、片づけと言うより、ただ、放り投げているだけ。
 ところが、途中、見つけたオモチャで遊び出し、夢中に。
 片づけなんて、すっかり忘れていると、大きな声で。
 「何回、ゆーたら、わかるが」。
 今度は、本気で怒っているよう。慌てて、片づけ始めましたっけ。
 30分後には、元のきれいな部屋。やれば出来るのに、それが、なかなか。
 出来ないはずは、ありません。そう、「ボランティア」。やれば、きっと、子どもの頃、みんなが持っていた、純真で優しい心に。



No.78(350) 「板チョコ」   2013(平成25)年4月11日
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 いつもは、兄弟みんなで、分けて食べてました。 お手間だと、親戚からもらったチョコレート。
 家族に言わず、一人で全部食べようなどと、悪い出来ごころ。
 見つからないよう、周りに注意しながら、銀紙のまま、横1列に、パリッ。
 それを、まとめて一口で。甘くて、大好きな味が口の中いっぱいに広がっていきました。
 残りは、後で食べようと思っていたのに、我慢できず、ついまた手が。
 結局、残ったのは、最後の1列だけ。それを、引き出しの奥の方へ隠し、知らんぷり。
 ところが、実は、口の周りにチョコレートを食べた跡が。
 それで、食べたことがバレ、大目玉を。
 いけません。叱られるようなことを、しては。そう、「ボランティア」なら、きっと、感謝されても、叱られることなんて。



No.77(349) 「手拭い」   2013(平成25)年4月10日
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 立ち上がりながら、腰を伸ばし、空を仰いで、額の汗を。
 口から出たのは、「てきなやー」。
 朝から続いた、田んぼ仕事。 汗が、体中から噴き出し、喉は、もうカラカラです。
 「いっぷく、いっぷく」。
 家から持ってきた、かがりは、日光の当たらない場所に、置いてありました。
 かがりの中から、飲み物を取り出し、1本ずつ。
 一口飲んで、「ふーっ」。
 途端に、汗が背中を、どーっと流れましたっけ。
 汗は、腰に下げていた手拭いで、一拭き。
 しばらく休んでいると、元気が、また復活です。
 横に置いてた稲刈り鎌を手に、「さてと」、やり残した場所へ。
 少しぐらいは、残るかも。そう、「ボランティア」。やれば、きっと、他人を思いやる、優しくて純真な気持ちが、心の中に。



No.76(348) 「白玉」   2013(平成25)年4月9日
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 朝から、とても暑い日。
 今日の、おやつは、めずらしく白玉。
 餅米の粉をこね、小さな団子状に。それを、沸騰したお湯の中へ入れれば、出来上がり。
 準備した入れ物は、切り込み模様の、透明なガラスの器。
 水に砂糖を溶かし、その白玉を、ガラスの器の中に。
 箸でつまみ、口に入れると、甘くて、軟らかな歯ごたえが、たまらなく。
 「まだ、ないが」と、余分に作ってあった分までペロッ。
 嫌いなものだと、見向きもしないのに、好きなものは、お腹が一杯になっても。
  人間なんて、欲張りなもの。
 作るのに、あれだけ時間がかかっても、食べるのは、あっと言う間でした。
 時間が、いつも、短く感じられる訳では。でも、「ボランティア」。やれば、きっと、充実した時間を過ごせること、保証。



No.75(347) 「サイダー」   2013(平成25)年4月8日
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 中学校の部活が終わっての、帰り道。
 仲の良い友達と、いつものように、おしゃべりをしながら駅の方へ。
 学校近くにある、お店の前を通りかかると、水の中に冷やしてあったビンが目に。
 思わず、顔を見合わせ「飲まん」って。
 選んだのは、サイダー。
 あれは、ラムネより、一回り以上も、大きなビン入り。
 いつもは、何人か飲んでいるものです。
 でも、あの時は、とても喉が渇いており、つい手が。
 一口飲むと、まるで、生き返ったよう。続けて、ゴクゴクと。
 でも、しばらくすると、お腹がいっぱいになり、ゲプッ。
 量が多く、とうとう、飲みきれずに、残してしまいました。
 あらあら、残すなんて。どうせなら、最後まで。そう、「ボランティア」。やれば、きっと、心にさわやかな風が吹き込んで。



No.74(346) 「菓子袋」   2013(平成25)年4月7日
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 「あれー、気兼ねなやー」。
 受け取りながら、笑顔で。
 あれは、家族に言われ、親戚へ、野菜を届けた時のこと。
 口上は、家を出る前、教えてもらいました。
 親戚の家へ着くまで、頭の中で、何度も何度も。
 「家で作った野菜です。少しですけど、どうぞ」って。
 玄関で、詰まりながら、何とか。
 「ちょっと、待っとられ」。
 奥から手にしてきたのは、お菓子の袋。
 「これ、お手間やよ」。
 実は、何かもらえるかも、と思っていたとおり。
 家に、走って戻り、早速報告。もらった袋から、お菓子を1個受け取り、手に握りしめ、外へ。
 何か、もらえることなんて。でも、「ボランティア」。やれば、きっと、品物ではなく、心に響く、いろいろな物が、たくさん。



No.73(345) 「缶ジュース」   2013(平成25)年4月6日
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 家族と一緒に、長靴を履いて、近くの山へ。
 リュックサックに入れたのは、おにぎりと、細長い缶ジュースです。
 途中で拾った棒を、振り回しながら、杖代わり。
 石ころのゴロゴロしている急な坂道を、登り終えた所が、休憩場所でした。
 すぐ横に、その昔、伐採した杉の木を、落とした坂だという跡が。
 そこだけは、木が生えてなく、地面がむき出し。
 そこで、下界を見ながら一服。
 缶ジュースについてた、鳥のくちばしのような形をした、小さな缶開けで、穴を2カ所。
 1カ所は、空気抜き用でした。
 開けた小さな穴から、甘いジュースが、すーっと喉へ。
 すんなり行くかどうか、保証の限りでは。でも、「ボランティア」。やれば、きっと、汗を流した分、成果が目に見えて。






本波 隆(ほんなみ たかし)

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