「新おすそわけ」

本波 隆(ほんなみ たかし)が、2013(平成25)年1月23日から、このページのため、新たに書いたコラムです。さて、いつまで続くか。。。。


No.24(295) 「リュック」   2013(平成25)年2月15日
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 今日は、楽しい遠足。
 大きなバスが、学校前まで迎えに。
 リュックを背負い、走って、一番後ろの座席を確保です。
 車が走り出すと、揺れが大きく、そのうち、なんだか、気持ちが悪くなり、顔の色が。
 座席を、バスガイドさんの近くへ移動。ガイドさん、顔を見ながら何度も「大丈夫」って。
 休憩の時、バスから下りると、吹く風が気持ちよく、気分もすっきり。
 前の晩、枕の向こう側に置いた、リュック。
 布団に入ってから、フタの留め具を開け、中に入っている物を、出したり入れたり。
 嬉しくて、夜遅くまで寝つけませんでした。
 車酔いは、どうやら、前日の寝不足も響いていたような。
 眠れないことなんて、まず。そう、「ボランティア」やれば、いつだって、きっとぐっすり。



No.23(294) 「夕ご飯」   2013(平成25)年2月14日
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 「こらっ。何しとるが」と、いきなり、大声で。
 言われて、びっくり。その場から、跳び出しました。
 二人とも、息をきらせながら、顔を見合わせ。
 「ほら、ばめかれたねか」。
 悪いことだとは、知ってた、つもりです。
 でも、おもしろく、ついつい、度を超して。
 夕食の時間になっても、家へ帰る足が、重くて。
 日が落ち、暗くなるのを待ってから、恐る恐る、玄関の戸を。
 家族は、帰ったこと、すぐに気がついたようです。
 「あんなことしたら、だめやぞ」。久しぶりに大きな、お灸。
 そして、「お腹すいたやろ、はよ、食べよ」って。
 その日の夕ご飯は、なんだか、しょっぱい味が。
 その日の気分で、味も違うようです。でも、「ボランティア」、やった日なら、きっとおいしく。



No.22(293) 「炭入れ」   2013(平成25)年2月13日
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 「さぶいねぇー」。
 入っていた、こたつが、なんだか、急に冷たく。
 中を覗くと、炭火が、ほとんど無くなっていました。
 「ちゃちゃと、炭、取ってこられ」。
 言われて、しぶしぶ、木製の炭入れを持ち、納屋へ。
 入り口近く、炭俵の中から、大きいのを選んで、炭入れの中。
 戻って、こたつ布団をたくし上げ、まず、大きな炭を一個。
 置いた途端、パチパチッ。
 炭火が、いきなり、元気に飛び跳ねてました。
 あの掘りごたつを使っていたのは、もう、何年前。
 今は、温風式のこたつが主流のよう。手元で、温度を、簡単に調整できるので、とても便利。
 それに、炭が切れる心配も、しなくていいから安心です。
 心配は、ない方が不思議。でも、「ボランティア」。やれば、きっと、心の中に暖かい火が。



No.21(292) 「味見」   2013(平成25)年2月12日
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 外は、もう真っ暗。
 玄関に着くと、中からトントントンと包丁の音。
 開けて入ると、いい匂いがプーンと。
 夕食のおかず、匂いで、だいたい予想がつきました。
 台所へ行くと、姉さんかぶりで、かっぽう着姿の家族。
 横には、出来上がって、湯気の立っている鍋。
 その中から、一個、箸で取り出し「熱いさかい、やけど、せられんがよ」って。
 あれは、一人だけ、内緒の味見でした。
 その晩も、またお代わり。あの時は、どれだけでも食べられるような気がしたものです。
 最後には、ふくれたお腹をなでて「もう、食べられんちゃ」。
 お腹いっぱいになると、遊び疲れも出て、眠くて眠くて。
 眠くなることは、ないかも。そう、「ボランティア」。やれば、きっとお腹より胸がいっぱいに。



No.20(291) 「入浴剤」   2013(平成25)年2月11日
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 「あ〜。なんて、気持ちいいが」。
 浴室から聞こえてきたのは、家族の声。
 今日のお風呂は、いつもと違って、入浴剤を使用です。
 ですから、湯船の中は白色。
 入浴剤を、初めて使ったのは、確か、どこからかの、もらい物。
 温泉地の書いてある、箱に分けてあり、どれも、行ったことのない温泉ばかり。
 まさか、我が家で、全国の温泉を楽しめる日が来るなんて。
 入浴剤を使った日のお風呂は、いつもより長めです。
 乾いたタオルで髪を拭きながら、「やっぱり、風呂が、一番やちゃ」って。
 体が温まると、なんだか、自然に笑顔も。
 その晩は、いつまでも、体がポカポカしてました。
 体より、心の中が温まるかも知れません。そう、「ボランティア」。やれば、きっと、優しい気持ちが、心の中いっぱいに。



No.19(290) 「温度計」   2013(平成25)年2月10日
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 「寒いと、おもたら、こんだけ、やもん」と、顔を近づけて。
 朝、見ていたのは、家の柱に掛けてあった、温度計です。
 中央に、細長いガラス管。その中には、赤色の液体が。
 あの赤い液体の正体は、いったい、何だったのでしょう。
 下の方に、どこかの会社の名前が、書いてありましたっけ。
 最近見かけるのは、数字が表示される、デジタル式のもの。
 時計と一緒になっており、電波式とかで、時間がとても正確。
 いろいろな機能がついており、使いこなすために、説明書を、何度も読まねばなりません。
 ただ、説明書を見ても、細かな字がたくさんで、頭が痛く。
 昔のような温度計だと、頭を使うこともないのですが。
 時には、頭を使わねばならないことがあるかも。でも、「ボランティア」。やれば、きっと、いろいろな考えが、どんどん。



No.18(289) 「学校給食」   2013(平成25)年2月9日
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 今日は、当番の日。
 家から準備してきた、三角巾にマスク姿で、同級生と、一緒に給食室。
 大鍋から移した料理を、ひしゃくですくって、小さな器へ。
 アルミの器は、ぶつけられてか、少々デコボコでした。
 そうそう。シチューなどと言うものを、初めて食べたのも学校給食。
 そんなハイカラな料理、我が家でなんて、とてもとても。
 家の年寄りが作っていた料理は、いつも、昔ながらの煮染めや、漬け物ばかり。
 家で、洋風の料理にお目にかかれることなんて、まず。
 だから、給食が、余計おいしく感じられたのかも知れません。
 本当は、どちらも、心をこめて作った料理。おいしさに、変わりがなかったはずなのに。
 聞くと、やるでは大違い。「ボランティア」、やれば、きっと思っていた以上に深い味わいが。



No.17(288) 「てんかふん」   2013(平成25)年2月8日
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 なんだか、体が、かゆくて、ボリボリ。 見ると、体のあちこちに、あせも。
 「さ。着とるもん、脱ご」。
 新聞紙を、床の上に広げ、言われたとおり、ちょこんと正座です。
 家族が準備していたのは、丸い容器の白い粉。
 まずは、首の後ろからパタパタ。続けて、脇の下へ。
 あっと言う間に、体中白い粉だらけ。
 最初は、じっとしていたのですが、我慢の限界。立ち上がり、向こうの部屋へ、逃げ出すと。
 「まだ、終わっとらんがいぞ。待と待と」。
 てんかふんを手にした家族が、慌てて、後を。
 夏の夜、家の中は、遅くまで、賑やかな声が響いてました。
 年配者の言うことは、黙ってきいた方が。でも、「ボランティア」なら、誰かに言われる前、自分から動き出すのも、悪くは。



No.16(287) 「浴衣」   2013(平成25)年2月7日
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 夕方、準備してあったのは、白地に紺色模様の、浴衣。
 言われたように、両手を上げ、帯を後ろで結んでもらいます。
 終わると、「見よなったね」って。
 家族揃ってのお出かけは、なんだか、心がわくわく。
 玄関には、大きな下駄の隣に、小さな下駄が寄り添うように。
 途中、近所の大人の人に出会い、「いいが、着せてもらったぜ」って。
 袖を引っ張りながら、自慢げに「これ、買うて、もろたが」。
 慣れない浴衣、歩いている途中、着崩れして、「あら、あら」。
 道路の隅に立ち止まり、着付け直してもらっていると、遠くの方に、ホタルが。
 思わず「きれいやねぇー」。
 人間、いつも、きれいでいたいもの。それが、なかなか。でも、「ボランティア」、やれば、きっと心の中の汚れがどこかへ。



No.15(286) 「蛇の目傘」   2013(平成25)年2月6日
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 家へ帰ると、玄関先に、見慣れない傘。
 色は、薄茶色の、油紙製です。
 持つと、手に、ずっしりくる重さで、あれは、蛇の目傘。
 中の骨は、見事なくらい、細い竹で組んでありました。
 雨の日に使うと、バタバタと音がすごくて、それは賑やか。 長く使わないと、油紙がくっついて、開く時にバリバリッ。
 傘の部分が、大きくて丈夫。ですから、強い雨の時など、重宝したもの。
 ただ、持ち運ぶには、大きすぎて、ちょっと不便。いいことは、なかなか二つ同時に揃わないようで。
 それに引き換え、最近は、傘の種類も様々。きれいな模様の傘も多く、雨の日でも、目を楽しませてもらえます。
 楽しめるかどうか、保証の限りでは。でも、「ボランティア」、やれば、きっと、心に潤いが。



No.14(285) 「迷子」   2013(平成25)年2月5日
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 「あれっ。どこ行ったが」。近くに、いるとばかり思っていた家族の姿が、どこにも見あたりません。
 周りを見渡しても、そこには知らない人ばかり。
 家族がいないと分かった途端、不安が一気に。とうとう、大きな声で、「え〜ん」。
  誰かに、連れて行かれたのが事務所です。
 「お名前は」と、聞かれ、泣きじゃくりながら、何とか。
 「いくつか、言えるかな」の問いには、指を立てて。
 とても長い時間待たされ、もう来ないかと思った頃、入り口の方に、慌てた家族の姿が。
 その顔を見て、それまで、ガマンしていたのに、また目から大粒の涙がポロポロ。
 帰りは、家族と手を離さないよう、しっかりつないでました。
 「ボランティア」、涙とは、無縁のようです。でも、やれば、きっと心に忘れられない何かが。



No.13(284) 「風船」   2013(平成25)年2月4日
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 あれは、家族と出かけた時のこと。
 「どっち、いいが」と聞かれて、選んだのは、青色の方。
 他には、黄色や赤色のものが、ありましたっけ。
 もらった風船が、どこかへ飛んでいかないよう、紐を、手にしっかり巻きつけていました。
 家へ戻っても、遊ぶのがおもしろく、寝る前までポーンポン。
 ところが、翌朝目が覚めると、小さくしぼんだ青い風船が、床の上に。
 ガスは、時間が経つと、自然になくなっていったようです。
 子供なんて、現金なもの。あれほど気に入ってた風船でも、それからは、全く見向きもせず。
 興味がある時と、興味のなくなった時では、雲泥の差。考えると、それは仕方ないことか。
 興味があっても、なくても、一度やってみる価値は。そう、「ボランティア」。やれば、きっと純真な心が、よみがえって。






本波 隆(ほんなみ たかし)

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